2018年5月14日月曜日

出産報告(その3):本当に感謝しかない


いつ終わるか知れぬ陣痛と戦っっている最中、夜が明けてしばらく経った頃、今まで姿を見なかった医師が急に現れて、次のような説明をした

「お産の進むペースが弱いので、微弱陣痛の疑いがある、長期戦になると母子の体力が心配なので、促進剤を使って早めに決着をつけよう、場合によっては器具による補助をする、1%以下の確率で緊急に帝王切開を行う、それでよいか」

実際はもう少しフランクな言い方をしていたと思うが、嫁も私もあまり正直フラフラであまり判断力が残っておらず、「じゃあ、そうしてくれ」としか言いようがなかった

という訳で、促進剤が点滴され、嫁は分娩室へ移動する
私は一時的に待合室へ退席させられたが、すぐに分娩室へ呼び戻されて、気がつけばもう、いざお産へ立ち会う事となった



AM9時半ごろ 衝撃(?)の事実


分娩室へ移動した頃、エコーで子宮内の様子を確認したらしいのだが、そこで衝撃の事実が発覚する
出産間際の胎児は普通、母親の背中側へ顔を向けているのだが、我が子は腹側へ顔を向けていたそうだ

そのせいで頭が産道を上手く通らず、お産が遅れていたらしい
「こういう状況ですので、器具を使います」との事だ
どうもこうも言えない

立会といっても旦那は嫁の頭側で応援するくらいで、下半身の様子は伺えないようになっている
それでも、嫁の足の隙間からときどき見える、鈍く輝く巨大なヘラや、それを使用している間、苦痛にゆがむ嫁の顔を見るのはかなりツラいものがあった
仮に直視が許可されたとしても、おそらく目を背けてしまったかも知れない


AM10時ごろ ついに出産


何度も何度もイキんで、「あと1回だけイキんで!」という指示を5回くらい聞いたころ(筋トレのトレーナのようだ)、ついにその時が訪れる
何しろ様子が伺えないのだから、ある時急に、足の間からヌッと新生児が現れたのでビックリした

嫁は、気付いていないのか余裕がないのか無反応であり、私は私で「ホラ、出てきたよ!」という間抜けなコメントをするので精一杯
赤ん坊が泣き出したのはその直後だった


テキパキとへその緒が切除され、赤ん坊が別の台へと移されて色々な処置を受けている間、私は嫁と見つめ合い、ガラにもなく泣きそうになってしまう
子どもが産まれたことより何より、苦痛に耐えて頑張ってくれた嫁の姿に感動していた

私は感動して泣くような事がほとんどない
AIを観ても火垂るの墓を観ても涙ひとつ流さない冷血野郎なので、自分自身のウェッティな一面に少々驚く


せっかくカメラを持ち込んでみたものの、分娩中に撮影チャンスはなかった
というか色々と、それどころではなかったのだ
せめて産まれたてのわが子の姿を写真に収めようとしたのだが、「処置中ですので……」と分娩室から追い出されてしまった
そりゃないぜ


AM11時半ごろ 再会


分娩室を追い出されてから、けっこう長い間待たされた
どうも、会陰切開をしたものの、これを越えて裂けてしまったようで、その縫合に手間取っていたらしい
サラッと書いたが恐ろしい、改めて想像を絶する痛みである
本当に感謝しかない

ともあれ待機すること一時間弱、分娩室で親子3人、めでたく再会である

嫁の健闘を讃え、しばらくは子どもの顔をつついたり、指をいじくったり、写真を撮りまくったりしていた

油まみれだった息子は小奇麗にされており、嫁の隣であぶあぶ動いていた
産まれたての赤ん坊というのは、泣くか寝るかという状態かと思っていたが、あんまり泣かずに機嫌良さそうにしていたのが印象的だった


AM12時ごろ 病棟へ移動


分娩室を出て病棟へ移動する
ふたりとも前の晩から何も食べていなかったので、一度解散し、嫁は入院食を、私は院内にあるレストランで一人昼食をとった
嫁はさすがに食欲がなく、3割くらいしか食べられなかったそうだ

母子同室が選択できたため、その後は子どもを部屋へ招いて、抱いたり寝かせたり、写真を撮ったりしていた
やっぱりあまり泣かない子で、たまに泣いても、抱き上げてアヤせばすぐに泣き止んでくれるのが妙に嬉しかった

母乳をあまり上手く吸ってくれないため、夕方ごろに一度ミルクを与えたら、物凄い勢いで5ccを一気飲みした
腹は減っていたようなので、たぶん母乳を飲むやり方がよく分からないのだろう
母乳の方も吸われた刺激で出やすくなるらしいので、お互いに練習である

途中で私の両親(割と近場に住んでいる)も面会に訪れ、初孫を抱いていった
嫁の両親はやや遠方のため、この翌日に面会することになる


私は夕方ごろに病院を離れた
本当は面会時間ギリギリの夜8時まで居たかったのだが、嫁の体力がさすがに限界だったので、6時の夕食が済んだついでに子どもをナースステーションへ預けて、早めに休んでもらうことにした
本当にありがとう、せめて一晩くらいはゆっくり休んでほしいと祈る

私もけっこう限界だったが、一周回ってハイになっており、しっかり夕食を作って食べて、結局いつも通りの時間に床へ着いた


嫁は退院と同時に里帰りをし、1ヶ月検診までは実家で過ごすことになる
私はしばらく一人暮らしになるため、その間自炊はしないつもりだったが、当分は晩飯作りを続けなければならなくなった

何を隠そう、こんなに早く陣痛が来ると思っていなかったので、前日にガッツリ1週間分x2人分の食材を買い込んでいたのだ……

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